川越大正浪漫人 Romanbito

鰻 小川菊 小川修一郎浪漫人鰻 小川菊 小川修一郎

川越の鰻屋の中でも地元の川越っ子に昔から長く愛されているお店がここ『小川菊』です。江戸時代、文化文政期の創業と言われています。今回ご登場いただいたのは『小川菊』の7代目である小川修一郎さん。小川さんは大きな目を見開きながら、いろいろとお話してくれました。

江戸時代が生んだ食文化の傑作、鰻。小川さんは川越の地で先祖代々受け継がれてきた『小川菊』の時の移り変わりに思いをはせます。

「江戸、明治、大正、昭和、平成と歩んできたうちの店は、昔はどんな店だったのか、文献を調べています。どんなお客様が来ていたのか、どのように利用されていたのかを知りたい。味や調理方法だって、時代によって違ったはずです。昔は、冷蔵庫なんてなかったんですから。それに鰻は生態についてもまだよく分っていないから面白い。そんなところもあわせて調べてみたい。」

江戸の影響を受けた川越は、昔から鰻屋が多かったと言われますが、近くの川で鰻がよく捕れたことも大きかったようです。

「その昔、喜多院の堀のところに湧水があり、そこにうちの鰻の池がありました。今で言うアルバイトの人たちが新河岸川や入間川で捕ってきた鰻をその池に入れるわけです。そこから店まで鰻を運んできて焼いていました。」

小川さんは、味やこだわりについて、あまり多くを語りません。数年前、川越のグルメガイドブックの紹介文に「ただ焼いているだけ」という言葉を発見した時、正直驚いた記憶があります。もちろん「ただ焼いているだけ」のはずはない。何回食べても、また食べたくなるのが『小川菊』の鰻です。

この鰻はもちろんのこと、『小川菊』の姿勢が表れているのが、お店で出される評判のお漬物。小川さんの奥様・智代さんにお漬物について伺ってみました。

「昔からお漬物をつまみながらお酒を飲み、鰻が焼きあがるのを待ったそうです。ですから、お漬物はおいしくなければならない。ここに嫁いできた時にそう教えられました。」

『小川菊』の建物は大正13、4年に建てられた珍しい3階建て。上の階に行くにつれて道路から後退するように出来ていて、川越市の「都市景観重要建築物等」にも指定され、歴史的にたいへん貴重な建物です。お店に足を踏み入れると、独特の雰囲気が漂います。

「昔はゆっくりした時代でしたから、川越の旦那衆がやってきては、2階で将棋や碁をうったりしていたようです。3階に上がれる人は限られたかもしれません。店の建物は80年以上も経ち、老朽化が激しいので大切に保存していこうと思っています。大切な商売道具ですから。」

大正浪漫夢通りであの香ばしい独特のタレの香りがしたら、そこが『小川菊』です。ガイドブックに氾濫する老舗という言葉を簡単には使いたくないけれど、やはり老舗。小川さんは、『小川菊』に通うお客様のために、今日も鰻を焼いています。

鰻 小川菊 http://www.koedo.com/ogakiku/リストに戻る